ひとり言

≪初夏の息吹≫

散策の路傍で

アスファルトを押しのけ

力強く顔出した筍を見つけた

まだ春の残り香のなかに

初夏の息吹をみつけた

 

劣悪な環境の中で

いかにも自分のあるべき場所はここだとばかり

排気ガスも人の足音も意に介さず

天を仰ぐ筍を見つけた

 

土の中はまだまだ暖かいだろうに

アスファルトの天井は堅かったろうに

外の空気を吸うのは今だとばかりに

力強く顔出した

 

花たちの乱舞に心奪われ

春の香りに酔いしれているうちに

足元では確実に季節が移り変わっている

大地の鼓動が聞こえるようだ

佐藤 美代子

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